半径流反復流動式衝動蒸気タービンであるエレクトラタービンです。
この型式の半径流衝動タービンは、主に第2次大戦前までは小型低速度蒸気タービンとして設計製作されていた、非常に古いタイプの蒸気タービンです。
衝動タービン動翼は円板に植えるように全周に配置され、外側デラバルノズルから蒸気が羽根に噴出されます。
そして、羽根を内側に通過した蒸気は案内通路に導かれ、今度は内側から衝動タービン羽根に吹き込まれ、2回目の回転作用を与えます。
つまりこのエレクトラタービンは、軸流の速度複式衝動タービンと同じ様な作用を1枚の羽根で実現できるタービンといえます。
反復流動は1回だけでなく、2回、3回とガイド通路を羽根の廻りに形成することで、最大4段ぐらいまで可能です。
反復回数を例えば4段とした場合では、4段の速度複式軸流タービンと同様な蒸気タービンとしては低速な設計回転数を得ることが出来ます。
そのため、高速型発電機や耐久性の高い減速機が入手しにくかった時代には、低速発電機に直結するのに適した蒸気タービンだったようです。
さらに、羽根は1枚で回転数を低速化出来る点と、円盤状の平面的なブレード形成で製品が造れる点から、価格が安く短納期で製作可能です。
では、なぜ現在ではこのエレクトラタービンが廃れたかというと、反復流動案内通路での損失が大きくなり効率が40%以下となる低効率タービンだからでしょう。
よって充分に蒸気があり、コンパクトで低速発電機を使うことを求められる特殊な用途、例えば蒸気機関車の車内電気発電用や蒸気を使う工場内の低価格小型動力源などとしての限定された採用となるようです。
上図は、まだ性能流体解析用の解析モデルなので、更なる反復流動の追加やガバナーや入口弁機構を含めた構造計画設計も進めることとなります。