このツイン遠心圧縮機型スーパーチャージャーは、エンジンからのチェーンにより駆動されるタイプです。
エンジンからの過給機駆動動力はチェーン伝動にて供給され、遊星歯車増速機で増速された遠心コンプレッサー羽根が主軸両端で2台駆動されます。
対向して配置されている遠心コンプレッサー羽根インペラは、左右両方から過給に必要な空気量を吸込みますが、1台の遠心過給機に比べて2台では1台あたりの空気量が少なくなり、低比速度型インペラを使うことが可能です。
低比速度型インペラでは、圧力−流量曲線(P-Q線図)が右肩下がりが大きくなり、低流量側の右上がり線図領域が少なくなることから、P-Q線図の右上がり部での運転で生じるサージングの発生領域が少なくなり、エンジン回転数が低い状態での過給空気量が少ない場合でも有効に過給圧を得ることが出来ることになります。
また、この設計ではレース用などを考慮して遠心過給機入口部に入口可変ガイドベーンを配置していますので、これもサージング運転の領域を更に狭める働きをすることで、バイク高回転型エンジンの低速でも有効な過給コントロールで高トルクを稼ぐことが出来ます。
仮に、この可変入口ガイドベーン機構を省略したとしても、このツイン遠心過給機であれば一般のバイクであれば全く問題なく優秀な全範囲過給効果を得ることが可能となるでしょう。