水力タービン

マイクロ水力発電用タービンとは

マイクロ水力発電用タービンとは

マイクロ水力発電とは、発電出力1kw~1000kwぐらいの範囲の水力発電、つまり水の力を利用した発電でも小型の方を言っていると考えています。1000kwとなるともう小型という概念ではないかもしれませんが。よって、自然エネルギー利用の水力発電と工場内でのエネルギー回収用の水力発電などの両方をマイクロ水力発電と言ってよいと思います。

この水力発電の中で、水の力を回転力に換えて発電機などを回す動力を作るのが水力タービンと呼ばれているものです。先日水力タービン設計者としての話をここでしましたが、それではどのような水力タービンを設計しているのかを少し詳しく、タービンの図面を使ってお話ししようと思います。

下図は、フランシス型水力タービンの組立断面図となります。現在、全世界で水力発電用として使われているタービンの8割以上がこの型式のタービンです。どこが優れているかと言うと、効率が高い、回転数が高く取れる、機械がコンパクトになるなどで採用されています。ただ、流量を調整する案内羽根動作機構などで少々機械構造が複雑になってしまうのが欠点と言えるかもしれません。

マイクロ水力用タービン ペルトン型について

マイクロ水力用タービン ペルトン型について

マイクロ水力用タービンとして良く使われるタービン2番目としては、ペルトン型と呼ばれるタイプを説明します。

ペルトン型は、回る原理も一目で分かりやすく、柄杓型の羽根が多数円盤の回りに取り付けられて、その柄杓(バケットといいます)に消防ホースの先のようなノズルから高速の水を噴出して当てることで回転力を得ています。

ペルトン型水力タービンの特徴は、落差が非常に高い(=圧力が高い)けれども水量は比較的少ない場合に使用され、割と高効率な運転が可能です。ただ、回転数がフランシス式などに比しずっと低い為、マイクロ水力用でのペルトンタービンはほとんどベルトやギアなどによる増速が必要なのが欠点と言えるかもしれません。ペルトンタービンの計画断面図を載せます。

水力タービン軸流型の設計

水力タービン軸流型の設計

水力タービン軸流型で多段のタイプを設計しました。

一般的な水力タービンでの軸流型は、プロペラ水車やカプラン水車と呼ばれるタイプが普通ですが、今回設計したものは、軸流型なのに比速度が大変小さく、しかも高圧力で使用可能であるように設計しています。

マイクロ水力用タービン プロペラ型について

マイクロ水力用タービン プロペラ型

プロペラ型水力タービンです。

プロペラ型水力タービンは、水力発電を行なう地点でも特に流量が多いが落差が少ない場合に使われる場合が多くなります。実は、日本国内での未開発のマイクロ水力発電可能地点の中では、落差1~3mほどで水量は水路や川などで割と多いという場合が割合的に大きく、そのような地点にぴったりなのがプロペラ型水力タービンです。

プロペラ型水力タービンのタービンとしての特性としては、落差が小さくても回転数を速くとれる、羽根形状がシンプルで製造しやすい、それによりゴミが詰まりにくいなど、マイクロ水力発電としては優れた特徴を持ちます。欠点としては、水量変動が有ると効率の低下が大きいなどです。

自然エネルギー水力発電機器の詳細 ペルトン式

自然エネルギー水力発電機器の詳細 ペルトン式1

自然エネルギーとして非常に有効な水力発電機器の中で、今日はペルトン式を3次元CADで設計した例を使用して説明します。

ペルトン式のタービンの理屈は非常に分かりやすく、下図のように先の尖ったホースの先から圧力の高い水が空気中にジェットとなって噴射され、それを受けるスプーン形状の多数の羽根(バケット)がジェット水の勢いを受け止めながらそらして回転力に変換します。ジェット水はエネルギーを失って左右下方に流れ落ちます。

国内・海外でもペルトン水車が適応出来る水力地点は限られていますが、ジェットノズルの数を増やしたり、ペルトンと似たターゴインパルス型を利用することで、このような衝動型と呼ばれている水力タービンの適応範囲も少しずつ増えています。

自然エネルギー水力発電機器の詳細 プロペラ型

自然エネルギー水力発電機器の詳細 プロペラ型1

今日の水力発電機器説明は、プロペラ型水力発電機となります。

プロペラ型水力タービンは、水力開発地点の条件として低落差・大水量の場合に使われます。最も低い落差は、弊社設計であれば1mほどから性能を出すことが出来ます。国内では、用水路・低地の河川などが適応する場所となります。

下図がその全体ですが、大きなプロペラ型の動翼があるので、ゴミつまりなどにもなりにくく、マイクロ水力のメンテナンスを楽にしてくれます。

自然エネルギー水力発電機器の詳細 プロペラ型2

このプロペラ型水力発電機は、流量の年間変動でも性能の低下を防ぐ為に、案内羽根と動翼の両方が可動式となっている少々複雑なタイプとなっています。

自然エネルギー水力発電機器の詳細 クロスフロー型

自然エネルギー水力発電機器の詳細 クロスフロー型1

このクロスフロー型水力タービンは、半衝動型とも言える動翼を持ち、同じ動翼に2回水が作用するという特徴を持っています。落差と水量の適応範囲は意外と広く取れますが、どちらかというとフランシス型に近い適応範囲となります。

その構造を見ると、シロッコファンのような短冊状の羽根が多数円形に並べられており、羽根形状も完全な2次元羽根なので製作がしやすいというのが、一時小型水力の有望な機種として脚光を浴びました。しかし意外と普及しなかったのです。

その理由の一つとして実際に設計した私が感じたのは、流量調整機構などを付けると割りと複雑な構造となり、しかも製造が工作機械との関係で難しい。それと羽根の耐久性が意外と低かったなどです。

マイクロ水力発電用タービン らせん水車

マイクロ水力発電用タービン らせん水車1

アルキメデスが発明したとされる「らせんポンプ」というネジのようなスクリュウ型のポンプが、現在でも大水量・低揚程のゴミなどの多い場所用として国内ポンプメーカーにより製作されています。

そのスクリュウポンプのちょうど逆が、「らせん水車」と呼ばれているものであり、低落差・大水量の水力発電地点に海外では使用されています。この「らせん水車」の特徴は、大水量に適応出来る・水力タービンとしての効率が意外と高い・流量変動があっても効率の低下が少ない・河川のゴミが詰まりにくい、など優れた特性を持っています。

しかし、流量の割りに水車本体が大きくなる(それならプロペラ型の方が有利)・大きさにより製作費が高くなる・回転数が遅いので増速が必要である、などであまり普及しておらず、ヨーロッパなどのメーカーによりわずかに製作されている程度です。その理論と構造は分かりましたので、図のように全体構想を作っていますが、今後普及するのかは難しいところかもしれません。

水力発電用スパイラルケーシング型フランシス水車

最近の原油の高騰や環境問題への意識の高まりから、新エネルギーについての関心は非常に高まっていると感じています。

実際に現在当社でも、小型の排熱発電装置用の小型安価なガスタービンの設計を開始しています。

しかし、私が本来昔から行って来た小型水力発電用タービンの技術も寝かしておくのではなく、そのような技術が既に国内に有ったのだという事実をもう少し広く知って頂くために、少し連続して詳しく水力タービン技術の御紹介を開始したいと思います。

水力発電用スパイラルケーシング型フランシス水車1

左図が小型の水力発電(出力100KW 以上ぐらい)に最も良く使われるタイプであるスパイラルケーシング形フランシス式水車(水力タービン)と呼ばれるものです。水力タービンでは最も良く使われるフランシス式の代表的な構造を図のタービンは持っています。

カタツムリの殻のようなケーシングと呼ばれる圧力水流を導くところ、その水流を整流すると共に旋回流を与え動翼に導く案内翼(ガイドベーン)を流量調整にも使う為の複雑なリンク機構部、そして圧力を失った後の水を排出するドラフトチューブという排出管などで構成されています。

このように、水の力で回る水車も本格的な発電に使用するために長年の研究により複雑な構造を持つに至っています。しかしそれが機器の値段を高くする原因でもあるのですが。

それで次回は、このような高価となる構造をいかに工夫して性能をそれほど落とさず簡素化していくか、これまでに設計してきた工夫点などを説明していきたいと思います。