蒸気タービン設計

蒸気用ラジアルタービン

新エネルギー発電分野で使われる、蒸気用ラジアルタービンの設計例を今日はご紹介します。

蒸気用ラジアルタービン1

これはラジアル型タービンを駆動する流体が蒸気となる気体用遠心ラジアル型タービンです。

液体用ラジアルタービンとの動翼形状の違いは、出口軸方向に向かってブレードをより延長したようなランナ形状となっています。

その理由としては、気体用ラジアルタービンではブレード翼に円周方向から気体旋回流が流入した後に気体の特長として圧力が下がると膨張するため、充分な膨張面積をランナ出口側で確保する必要があるからです。

蒸気用ラジアルタービン2

気体用ラジアルタービンでも動翼ランナに回転力を与えるのは、ガイドベーン(案内羽根)による入口旋回流によるものと翼間での速度増加による出口での反動となります。

一般的な気体用ラジアルタービンでは、ガイドベーンは最高高効率点での取り付け角度固定式となっているものが多いのですが、今回見ていただいている私の設計では部分負荷効率の上昇を目的として角度可変式のガイドベーン動作リンク機構を左図のように採用しています。

実は部分負荷効率を上げる為には、ガイドベーンの角度可変機構と共に、ランナのブレード自体も角度可変となれば水力用カプランタービンのように高効率動作範囲が大変広くなるのですが、ラジアル型タービンのブレードはその機構を実現しにくい為、斜流型や軸流型のタービンではランナブレード可変式が可能になる構造を持ち得ます。

数百KW背圧蒸気タービンを計画 初期段階

新エネルギー関係に使われる数百KWクラスの背圧式蒸気タービンを計画開始してみたところです。

数百KW背圧蒸気タービンを計画 初期段階1

背圧式とは、蒸気タービン出口が大気圧よりも圧力が大きい運転状態を言います。
それで、蒸気配管の途中などに付けて、減圧弁の代わりに使うことも可能な方式です。

数百KW背圧蒸気タービンを計画 初期段階2

タービン羽根の段数もそれほど多くならず、背圧により膨張率も真空式よりずっと少ないのでタービン翼高さが過大とならず、どちらかといえば作り易い方式です。

回転数が過大にならないよう、動翼直径を大きくとっていますが、その加工費はどうしても上昇してしまいます。
そのような外部的条件まで考慮して、段数も適切に設定されています。

段数、方式の決定はいつも繰り返し計算による適切化に大変に悩む重要な仕様です。

新エネルギー発電用小型軸流多段蒸気タービン

排熱・地熱・太陽熱などの熱発電用に、非常に小型の軸流多段蒸気タービンを設計中です。

現在急速に見直されているのが、工場などで無駄に捨てられている熱・すぐそこにあるけれどもうまく利用されていない自然な熱などを利用して、比較的低温度の蒸気などを作って蒸気タービンを回してクリーンな電気を造ることであり、排熱エネルギーや太陽熱などの自然エネルギーの有効な利用方法です。

そのような中でも特に小型の蒸気タービン発電用に開発設計を進めているのが、下図の小型軸流多段蒸気タービンです。

新エネルギー発電用小型軸流多段蒸気タービン1

構造的にはかなり複雑な構造をしている蒸気タービンですが、全体が小型となるように設計しているので、100KW以下ぐらいの蒸気タービン発電でも大変に利用しやすい価格と性能を持っています。

利用出来る蒸気は、例えば地熱蒸気・温泉蒸気・排熱蒸気・太陽熱集熱器蒸気などなんでも使うことが出来ます。

そしてある程度回転数を多段構造により抑えることで、発電機も通常の廉価なものを選定出来、発電システムとしての全体価格を下げることが可能です。
このような小型蒸気タービン発電については現在急速に引き合いが増えており、弊社としても急いで開発を行いながら、標準機の確立を図ろうとしています。

この小型蒸気タービン発電システムが、全世界の分散型クリーン電源施設として普及するように進めてまいります。

新エネルギー用 小型多段軸流蒸気タービンの翼は 衝動型の多段です

新エネルギー用の小型多段軸流蒸気タービンの翼形式は、衝動型の多段にて計画をしています。

小型多段軸流蒸気タービン1

少々詳細が分かりにくいですが、タービン多段翼部のスクリーンショットが左図です。

衝動型蒸気タービンの動翼、静翼が交互に並んでいって全体の段を構成しています。

蒸気タービンがこのように多段となってしまう場合が多いのも、その蒸気速度の大きさによります。

静翼などで作られる圧力を速度に転換した蒸気流は毎秒500m以上の速度を簡単に持ったりするため、その速度を受ける動翼の回転数は翼周速度が毎秒数百mに適応するように決められることより、すこしづつ圧力を落として回転数を抑えないと大変に回転数の速い扱いにくい蒸気タービンともなってしまうので、非常な多段を必要とすることとなります。

小型蒸気タービンのさらなる効率改善の為の設計作業

新エネルギー方面にて使われるかなり小型の蒸気タービンを各種設計してきましたが、さらなる効率の改善を目指して構造や羽根形状などを見直し中です。

小型蒸気タービン1

羽根関係の流体的な性能以外にも色々と改善点があり、例えば各種摩擦損失などのロスが大きいのを構造見直しで低減させるとか、適切な入口・出口口径を使うなども損失を減らします。

シール構造であれば摩擦損失低減でシール方式を変更するとか、軸受けも動圧軸受けなどにて損失低減とか、減速機の歯車方式・配置を変えるとかなど多数あります。

小型蒸気タービン羽根の性能改善設計 速度複式衝動型

小型蒸気タービンの効率を改善する為に、構造などの全般を見直していることは昨日ご紹介しました。
そして今日は、効率改善に直結する翼の改良設計を速度複式衝動型タービン翼について、ご紹介したいと思います。

小型蒸気タービン羽根の性能改善設計1

速度複式衝動型タービンでは、動翼が2段あり、初段動翼と2段目動翼となります。
そして圧力を高圧側から低圧側の所定圧力まで一気に落とす初段のノズルが初段動翼の前にあります。

つまりこの初段ノズルにて、所定の熱落差を全て運動エネルギーに変換してしまいます。 初段動翼も2段目動翼も気体の運動エネルギーのみを回転力に変換する事となります。

小型蒸気タービン羽根の性能改善設計2

左図は2段目動翼を示しますが、この動翼の前に初段動翼を出た気体を逆方向に転向させる静翼があるので、初段も2段目も同じ方向に回転する事が出来ます。

このように初段ノズル流出後は、速度エネルギーの変化のみが動翼2つと静翼ひとつに作用しますから、速度三角形等の計算時に最も重視すべきパラメーターは翼内で気体の方向が転向する場合にどのくらいの速度変化が生じるかという見積です。

小型蒸気タービン羽根の性能改善設計3

翼入口出口での速度変化を決める重要な因子は、速度ベクトルの変化つまり転向角と呼ばれているものと、それを行う翼の距離、つまり翼幅となります。

また、翼のピッチつまり翼枚数などや、翼高さも重要な因子ではあります。

これらの因子により気体速度の減速分を正確に見積もれれば、2段目動翼最終出口では旋回成分を充分に回転力に変換したエネルギー効率の高い流れを作ることが可能です。

そのような速度変化を流体解析により求めることも可能となり、充分多く解析を行えば、各因子を基とした速度変化データベースが出来上がることとなるでしょう。
それらのデータよりパラメータの最適化選定が可能となります。

蒸気タービンの基本 単段衝動タービン 簡単な計画

蒸気タービンと基本となるもの、それが下図の単段衝動型蒸気タービンだと思います。

蒸気タービンの基本 単段衝動タービン1

初期のタービンはこのタイプが発明されて発展していきました。

酪農で牛乳を遠心分離する為の高速原動機として生まれたということですから、まさに必要は発明の母と言えると思います。
しかも初期のこのタービンではすでに高速回転での危険速度を回避するためにわざとタワミ主軸を採用しているのですからその工夫には驚きます。

このタービンの動翼部分は、ノズルから出てくる蒸気流の速度の45%ぐらいで回転すると蒸気のエネルギーを最も効率よく回転力に変換できますが、ノズル蒸気速度自体が毎秒数百メーターとなりますので、タービン翼の回転数は油断すると超高速にもなってしまいます。

ノズルから出る蒸気速度を小分けにして回転数を抑えたのが多段式のタービンとなります。
ですから図のような単段蒸気タービンは、高速が求められる場合に強度など良く熟慮して採用されるタイプと言えるでしょう。