水力発電機事例

落差60m、流量毎秒0.55m3でのフランシス水車設計事例 その1

フランシス水車の設計手順を具体例で説明して見たいと思います。その1として、基本設計仕様からガイドベーン及びランナの外形までを設計する3段階を説明します。 まず今回設計する水車の仕様としては、落差60mであり流量は毎秒0.55m3、回転数は60Hz地域での使用で1200rpm(つまり6極)の発電機をタービンにつなげるとして進めます。 この落差、流量、回転数では水車の形状特徴を現す比速度を計算すると120程度となり、これは低比速度フランシス水車となります。 その設計計算したフランシス水車の基本設計パラメーターを必要なもの全て計算して求めたリストが次の図であり、自作のフランシス水車設計ソフトで計算させています。

ターボドリルの性能解析1

計算に必要なパラメーターは非常に多くあり、それらを比速度基準にあらかじめ造った設計データベースから計算させた結果が図のリストです。 次にその設計パラメーターの変更可能なものを一覧として集めたものが次のダイアログボックスとなります。

ターボドリルの性能解析2

この設計パラメーター一覧での各値はグラフとしても表示が可能となっていて自由に変更可能であり、変更すると全ての設計再計算が行われます。 次がこれら設計パラメーター値から自動的に作り上げたフランシス水車のランナ子午面形状とそのランナへの旋回流を作り出すガイドベーン形状の自動生成結果図です。

ターボドリルの性能解析3

ガイドベーン一枚はとなりのガイドベーンとの間にスロートと呼ばれるノズル作用をする空間を造りますが、このノズル作用部の総面積が流れる流量を決めてしまいます。

実は水車に作用する落差(m)はそれを全て流速のエネルギーに変換すると流速(m/秒)=√(2×9.8×落差m)という式で落差を速度に変換した時の最大値を計算出来ます。 一般的にフランシス水車のガイドベーンでは水車に作用する落差の7割ぐらいをガイドベーン部のスロートにより速度エネルギーに変換します。

つまりフランシス水車のガイドベーンは落差を速度に変換する重要な部分であるともに、流れる流量も決めてしまう重要部です。

このようにガイドベーン部を通る圧力水は、その圧力のエネルギーの7割のエネルギーを流速の旋回エネルギーに転換して、残り3割の圧力を持ったまま回転する動翼のランナへと流入します。

つまりフランシス水車動翼(ランナ)は、水の速度エネルギーだけで回されているわけではなく、 そのランナを少し圧力のある水が通る時にその残りの3割エネルギーも羽根の翼間の間で速度エネルギーに転換して最終的にランナ外に吐き出します。

このようにフランシス水車ランナは、その羽根内でも圧力を速度に変換する作用を行い、流れが翼間での増速流となるためスムーズに流れが出来、それが結局高効率を生む原因となっています。

結局、フランシス水車ランナはその動翼出口のすぼまりの形状がとっても性能に関係する重要点となります。

落差60m、流量毎秒0.55m3でのフランシス水車設計事例 その2

流量毎秒0.55m3、落差60mにて回転数毎分1200rpmで出力275KWを発生する比速度120ぐらいのフランシス水車設計事例として、その2を説明します。

次の図は、流線展開図とそれによる流線の断面での形状と平面での形状を示す図を、ひとつの図の中に配置しているものです。

流線とはフランシス水車の回転動翼(ランナ)内を流れる水の軌跡を3次元の線として現したものです。

もちろん水は平面状を流れるのではなく、複雑な経路を通って3次元空間上を流れていくのでその流れを扱うのに3次元流線が必要となるのです。

ただ3次元流線は3次元の曲面上を通る線なので、それを考える時に平面上で考えることは難しいとともに3次元線を直接取り扱うのも難しいために、 以前から3次元曲線流線を2次元平面に展開する特別な手法である等角投影法を使ってなんとか平面に近似的に現すことが出来ます。

しかしこの等角投影法がなかなかに扱いにくい方法で、しかも理解し難い面も多々あるため、この方法を正確に使いこなす人も大変少ない状態となっています。

よってこの自作のフランシス水車設計ソフトのようにプログラムが自動化して3次元流線を生成してくれれば、
かなり自由に複雑なフランシス水車ランナの設計が可能となります。

まあ簡単にフランシス水車が設計出来るように時間をかけ苦労して造ったフランシス水車設計ソフトでありますから、
そのランナ形状生成機能は大変優れているものとなります。
実は等角投影法で何か難しいかと言うと、自由に等角投影された2次元展開流線図を描いていくと
相当に凸凹した使い物にならないランナ羽根曲面が手作業設計では出来上がってしまうことであり、そこらへんを
この自作ソフトでは非常に滑らかな羽根曲面となるように工夫したアルゴリズムを生成して曲面生成過程を行っています。

落差60m、流量毎秒0.55m3でのフランシス水車設計 その3

落差60mで流量が毎秒0.55m3に適応されるフランシス水車設計のその3となります。 比速度(Ns)が120ぐらいであるフランシス水車の羽根設計を途中までやっていましたが、今回は3次元流線の平面への等角写像生成図より 逆に求まる3次元流線をワイヤーフレーム図として次のように自作プログラムが生成します。

少しこの3次元ワイヤーフレーム図の見方を説明すると、羽根のブレード形状はメッシュのワイヤーフレームとして生成されており、それが羽根枚数分存在します。

またブレードが取り付くボス部は図を見やすくするために省略表示になっています。

またランナチップ側バンド部も外径線だけが表示されており、これもブレード形状を見やすくします。
これはリアルタイム3次元表示なので回したり、近づいたり表示を動かせます。 表示から羽根ブレード部の面の状態など必要な情報を取得していきます。

落差60m流量毎秒0.55m3でのフランシス水車設計 その4

水力発電用のタービンで落差60m、流量毎秒0.55m3となるフランシス型水力タービンの設計その4として、水車ガイドベーンとランナ平面図の関係を次に示します。

ガイドベーンとはランナへの流入量を調整する役目とランナに旋回流を供給する重要な役目を持っています。

その状態を平面的に現わしたのが上図ですが、ガイドベーンは半数のみを描いています。
これにより圧力を流速に変換してランナに送り出すガイドベーンの役目を少し分かりやすく理解していただければと思います。

落差60m、流量毎秒0.55m3のフランシス水車設計 その5

落差60mで流量毎秒0.55m3のフランシス水車設計事例その5として今日は羽根に厚みを付けた結果を示します。
以前までに見て頂いた羽根流線群は羽根中心線の3次元流線となります。
しかし羽根には実際に厚みがあるので、その厚みを3次元流線上に付加した流線上翼型生成を行った9断面のそれぞれの図が次となります。

プロペラ水車組み立て途中1

この流線ごとの翼断面図を詳しく見ると、タービンの各翼断面形状は転向角の比較的大きな翼型をしていることが分かって頂けると思います。

また、3次元流線上の翼断面形状を平面に展開した各翼断面の入口縁と出口縁にある三角形はその位置での速度三角形を示しています。

プロペラ水車組み立て途中2

入口縁と出口縁の角度はこの速度三角形の入口角度にある程度合わせるように決められます。
そのようにして造られた翼断面形状群から次のような3次元の羽根形状が逆算計算して導き出されます。

落差60m、流量毎秒0.55m3のフランシス水車 ランナ等高線作成

落差60m、流量毎秒0.55m3に適応する回転数1200rpm、比速度120程度のフランシス水車羽根設計を以前から事例として設計段階ごとに載せていますが、本日は羽根等流量分割面に沿う3次元流線から造ったランナ圧力面と負圧面の製作用等高線図を次のように示します。

フランシスランナ羽根には表面と裏面がありますので、2つの羽根等高線が作成されます。

羽根等高線が出れば、もし鋳造羽根で木型を製作する場合は正確な木型中子を造る事が出来ます。
またNCでの木型加工や鋳造後に羽根表面仕上げを機械加工で行う場合でも役に立つデータとなります。

よって3次元曲面羽根形状を示す色々なタイプのデータを出力出来れば、製造での各種問題を大きくクリアー出来ることとなります。

直径500mmほどのプロペラ水車ランナの設計 最終段階

プロペラ水車のランナ(回転動翼)で直径が500mmほどのものを設計する最終段階に入っています。それは次の図のようなイメージとなります。

自分の設計の方法として、水力発電機を据え付けた後でも色々とタービンの調整が出来るようにランナのブレードとボス部は分離した組み立て方式を普通は採用しています。

これは微妙なランナ運転状態の調整には大変に役に立つ方式ですが、ボスとブレードが分離した別々の製作となるので、 ボスとブレード一体鋳造の羽根にはコストで負けることとなりますが、それでも採用したい魅力のある組み立てランナ方式です。
またもしブレードの1枚が摩耗やキャビなどでやられた場合もその1枚だけ交換すれば良いのでお得だと思います。