小型水力発電機

水力発電所運転制御方式のまとめ案など

これには、通常の運転開始・停止の場合、水路の水量の変化に対して対処する場合、水車や発電機・盤に異常が出た場合、系統連係に異常が出た場合などに分けて対処シーケンスを考えています。

要は、いかに安全に対処するかを考えており、最後は水車が回らないようにすることが基本ですので、水車入口弁の閉動作に繋がることとなります。

水車は小型なので大型風車のように緊急に止めるブレーキなどの装置がなくても、流水が止まるまでの数分間はたとえ走りっぱなしの過回転になっても大丈夫なように水車と発電機とも設計されています。

これらのシーケンスがうまく働く水車制御盤となるように製作前の最後の詰めを、電気関係と行います。

水力発電所 水車発電機据付図

計画中の水力発電所用の水車発電機据付図を御紹介します。

水車発電機は据え付けられて初めて運転を開始出来ますので、水車性能を発揮させる為の据付図は重要で、良く考えて計画されます。

プロペラ水車羽根を通った水は、エルボ付きドラフトチューブを流れ下部水槽内に流速1m/秒少しで流れ込みます。

下部水槽には常に水が溜まっており、その中に水車ドラフトチューブからの水が流れ込むことで、水車羽根通過水の残留速度を減速して水車にかかる圧力差を増加させ水車発電出力を増加させます。

つまり、水力発電所では放水部といっても発電性能にかかわる重要な役目をしている所となります。

また水車本体の重量と水の推力を受けとめる水車固定部分も充分な強度が必要です。

かといって水車発電機設置部の土木設備を過剰とすれば費用がかかり過ぎますので、出来るだけ簡素化を考えた設計を考えています。

水車=機械、発電機=電気、導水路+水槽=土木 と全てがバランス良く計画されてこそ良い水力発電所となるでしょう。それと複雑な法律関係手続きと調整も多量です。

そのようなことで、水力発電所建設は手間と時間がかかることがお分かり頂けると思います。

プロペラ水車発電機 分解図

プロペラ水車発電機「龍神1号」の分解図となります。

今回のプロペラ水車は、新機軸の要素を色々と入れたので、部品点数の多い複雑な構造となってしまい、分解図にもそれが表れています。

複雑な部分としてまずは可変ガイドベーンリンク機構部が挙げられます。

そこには14枚の可変ピッチガイドベーンとそのリンクモーション部品でぎっしりと部品が詰まった箇所となっています。

これは年間の水位調整に大変有効なのですが、少々価格は高くなってしまいました。

ただ、この水位調整機能による年間有効発電量の増加は、価格増加を補って余ります。

左下の所には、ランナ廻りの分解図が載っています。

このランナは、翼部がボスと別となっていて、ボスの穴に軸をさして固定されますので、組立時にランナピッチを自由に変更可能なのです。

これにより、シーズンごとの水流量変動に対してランナ部だけを分解して羽根ピッチを適正とすれば更に多くの水エネルギーを徹底的に使うことが出来、年間発電量の増加を最大限もたらします。

縦軸プロペラ水車の構造部品

大分県竹田市に建設中の高性能実証試験用小型水力発電所に使われる縦軸プロペラ水車の主要構造部品が出来上がっています。

プロペラ水車の本体ケーシングとなります。
溶接構造で作られており、円筒状の部分が縦軸プロペラ水車のケーシング部であり、円筒ケーシングの右側にあるフランジが導水管からの流入部となります。

ケーシング左側にあるフランジはハンドホール用フランジであり、これだけ大きいハンドホールであればゴミが水車内に詰まった場合も取り除き易くなっています。

下側の四角い板が据え付け用のベースとなるもので、放水槽ふち部分に載せるものです。

そして最後に紹介します上写真の部品は、水車の最も下流に付けられるドラフトベンド及び広がり管となり、水中に置かれるため錆びないような黒塗装を行っています。

これら構造部品の出来上がりを見た感想は、自分的に設計時に抱いていた水車の大きさよりも随分大きな部品群であるなというものです。

というのも、最初の通常設計のプロペラ水車では今回製作したプロペラ水車の1.5倍ぐらいの大きさはあったのですが、それを大変に小型化する設計をしていたのに構造部品としては大きく感じたので、今更ながら流量の多い水車はそう簡単には小さく出来ないなということでしょうか。

今後は、もっともっと水車を小型化する技術を磨いていきましょう。
ただあんまり小さくするとゴミがつまりやすくなるので、限界はありますが、構造で工夫をしてみると面白そうです。

流量調整用可変ガイドベーン部の組み立て

写真の放射状に並んでいる羽根が可変ガイドベーンとなり、全部で14枚あります。

羽根は外側が広くなり、内側がその直径に合わせて狭くなり、ボスからピッチまで同じほどのソリディティーになっています。

羽根シュラウド側(チップ側)に羽根を回転させて開度を変えるための軸がついています。実は羽根もボスもチップ側リングもピカピカの黄銅系合金となっているのも、スムーズなガイドベーン回転を長く保持するための材質選定を行っています。

ガイドベーン主軸の軸端には軸を回転させるためにアームを付けていますが、これをガイドベーンアームと呼んでおり、このアームは主軸にパワーロックでガッチリと組み付けられています。

さらにこのガイドベーンアームを一斉に同時に動かすためのリンクモーション機構がこれから組み付けられていきますので、それは近々ご紹介することとなります。

とにかくこの部分にはかなりお金がかかった構造となっており、今後はガイドベーンではなくランナベーンの可変を中心とする開発方向性に入るかもしれません。

そのような検討を行うためにも今回の水力発電所の運転が始まったあとでも各種の実験を加えて最高の発電装置となるように開発は進めます。

プロペラ水車ランナ(回転する動翼)の完成

近頃一連でご紹介しています大分県内に建設中の小型水力発電所に設置する水車発電機用プロペラ水車の部品として今日は、回転する動翼(水車ではこれをランナといいます)の完成している様子を載せてみます。

プロペラ水車ランナです。
ピッチ(取付角度)を変更できる黄銅系合金製のピカピカの羽根が5枚、これも黄銅系合金製の球面ボスに取り付けられています。
運転中はこのブレードの取付角度は変更できませんが、水車を分解点検する場合には角度を手動で可変出来るので、最高効率運転方式をいろいろと試してみることも可能です。

5枚ブレードの横には、円錐形のスピナーが置いてあります。

プロペラランナを横から見たものですが、手前の羽根の断面が翼型になっているのが分かっていただけると思います。

手前の翼型からボス部までに翼型の異なる断面が滑らかに変化しながら続いており、また翼型自体の設定角度も異なるためブレード全体がねじれています。

このような翼型があるために、相対速度にて翼に対して入る流れが翼に揚力を生んで回転するという考え方も出来ますが、もうひとつの考え方としては翼間の流れを中心に考えて翼間を流れた水がそこから流出する際の反動で翼が回転するという運動量の変化による考え方もありますが、自分的には内部流れとしての翼間流れ重視の考え方で設計を行います。

そうすると重要なパラメーターは、速度ベクトルの変化を翼がいかに生み出すかということになり、解析での注目点も速度変化が設計意図どおりになっているかということになるわけです。

ランナにスピナーをかぶせてみたものです。

割と太いスピナーとなっているのも、来年度の研究でこのスピナー内にランナ羽根ピッチ可変機構を組み込み実験することを想定しているからです。

そして可変ピッチ用アクチュエーターも出来れば電動で設計して、連続した滑らかな制御による年間発電量の最大化実験を行います。

明日は、プロペラ水車全体が組みあがった様子の見学会があるので、その様子はまたご紹介します。