ターボドリル設計

ターボドリルの仕組みを改めて説明します

最近、マントル掘削用ターボドリルについて何回か説明をさせて頂きましたが、そのターボドリルの仕組みについて改めて簡単ではありますが、説明します。

ターボドリル開発設計概要画像

左図のうち、左側にターボドリル構成要素の名前を書いており、右側にはその役目について説明をしています。
まずターボドリルは掘削用ドリルビットのすぐ上部に付いていますが、このターボドリルは船上から下ろされているドリルパイプの先端に装着されていることとなります。

このドリルパイプの中央に開いている穴を通じて高圧の液体がターボドリルに供給されます。
その高圧の液体はその圧力エネルギーでタービンモーターと呼ぶタービン羽根を回転させます。
そのタービンの回転は、その下部についている減速機で掘削に適切な回転数まで減速されます。
減速機の下には、掘削時の衝撃を受ける軸受け関係が多数配置されています。
そして一番下部に、実際に地層を掘削するローラーコーンビットやダイヤモンドビットなどが装着されています。
以上がターボドリルの仕組みです。

マントル掘削用ターボドリル計画初期の頃のタービン性能解析

マントル掘削用ターボドリル開発初期の頃の全体構造などについては最近ご紹介しましたので、今日は開発初期の頃に行った、流体解析によるタービンの性能解析についてご紹介します。

ターボドリル開発設計概要画像

開発初期の頃は、タービンの性能見積りも低めに行い、どちらかと言えば確実に必要動力を超える出力を出すように全体段数などで調整するという設計思想でした。
ただ、設計初期の頃からタービンの特徴として、掘削運転時にタービン特性が扱いやすいものとなるように気をつけて設計していました。
そのようなタービン特性とはどのようなものとなるかというと、船上の高圧ポンプはプランジャー式の 容積式ポンプとなる為、タービン側の運転状態により流量の変動が大きくなるとこまめに高圧ポンプの運転状態を調整しなければなりません。

そこで、掘削部タービンの運転状態が掘削状況により色々と変動しても、タービンに流れる流体量があまり変動しないような羽根設計を行なっています。
それはより具体的には、タービン羽根の反動度を適切な値とするということになり、羽根形状で言えば静翼と動翼の形状が似たようなプロフィルを持つことを意味します。

そしてもうひとつ大事な仕様値としては、タービンのストールトルクと言うものがあります。
タービンストールとは、タービンが負荷によって完全に停止することを意味しており、つまり回転数0rpmでタービンが最大トルクを発生するのですが、それをストールトルクと言っています。
孔内でビットが回転を始めようとする場合のトルクは必要トルクの最大となる為、タービンが発生するトルクも回転始めで最大になることを求められます。
タービンの特性としてストール時が最大トルクとなるので、その点掘削に適しているのです。

今年も国家プロジェクト用タービンの開発設計と製作が始まりました

今年もこの時期から、国家プロジェクトである海底マントル掘削に使用されるタービンの開発設計と製作が弊社にて始まりました。
実は昨年もこの時期ぐらいから下図のような「タービン性能実験装置」を開発して実験を行っていたのです。

ターボドリル開発設計概要画像ターボドリル開発設計概要画像

上の図は、タービン性能実験装置の全体を示す組図となります。
そして下図は、タービンの性能実験用本体部を示しており、実機タービンの縮尺モデルにて性能実験を行いました。
実験結果は、予想した性能を出すことが出来たので成功でした。
それで今年は、実機サイズの性能確認用実験タービンを設計・製作します。
その実機サイズ実験タービンについては既に全体計画が出来ています。

マントル掘削用タービン実機サイズ実験機の計画進行中です

国家プロジェクトである「海底マントル掘削」に使用するタービン原動機の今年度分開発として、実機サイズ実験機の計画を鋭意進行中です。

「海底マントル掘削」とは、4000mの海底からさらに7000mを掘削機で掘ってマントルに到達してマントルを採取することを目標とする計画であり、あと6年後ぐらいには実施される予定となっています。
その地底掘削機に使用されるタービン原動機の実機サイズ実験機の現状計画が下図となります。

ターボドリル開発設計概要画像

図の中の左側からタービンを駆動する特殊流体が供給されて、多段の軸流タービンを高速で回転させることでタービンが原動機としての出力を発生します。
このようなタービンユニットを多数取り付けることで、掘削可能な大出力までタービンパワーを増加させます。
多段軸流型特殊液体タービンの設計は、液体の特殊性もあり、なかなか難しいものとなります。

タービンの回転数・トルク・出力・効率の関係を示す性能線図例です

タービンの性能線図を「深海底マントル掘削用タービンモーター」の特性線図を使って説明してみます。
性能線図は、横軸:タービン回転数となり、縦軸にはT:トルク、Pt:出力、η:効率、ΔP:圧力があり、これにより運転時のほとんどの状態を判明する事が出来ます。

ターボドリル開発設計概要画像

左図の横軸の回転数は減速機により減速した状態の回転数を示す為、タービン本体の回転数は定格3200rpmぐらいとなります。

そして、タービンに取って重要なパラメーターの流量については、常に一定の流量にて他のパラメーターを変えた場合を示す線図となっています。
この性能線図の中のトルク線を見ると、先日もお話ししたように、回転数が0rpm、つまり停止した状態で最も大きなトルクとなっているのがお分かり頂けると思います。

それと、右端の走りっぱなし回転数の半分ぐらいのあたりに最も出力の出る回転数があり、そこら辺が定格回転数となります。
効率も定格回転数あたりで割とフラットな最高効率領域があり、このフラットな効率は使い易いタービンであることを示します。

そしてマントル掘削用タービンモーターとして考えた場合のこのタービンの優秀なところは、その圧力ΔPの変化にあり、回転数が変化してもΔP値の変化は非常に小さいものとなっており、これは実際のマントル掘削時のオペレーションを簡単にする優れた特性です。
実はそのような優れた特性となるように意図して羽根形状を設計しているのではあります。

タービンモーターの効率を限界ギリギリまで上げたいと思っており、それによりマントル掘削時の掘削パワーに少しでも余裕を与え、確実にマントルまで到達するタービンとしたいと思い色々と細かく検討中となっています。

深海底ドリリング計画用タービンモーターの最終組立

昨日高知県の南国市にある坂本技研さんに到着し、今日は深海底ドリリング計画用のタービンモーターの最終組立を行いました。
深海底ドリリング計画とは、(独)海洋研究開発機構が進めているマントル掘削計画と呼んでよいもので、そのマントルに到達するための特殊な掘削方法に使われる原動機が今回最終組立を行う下写真のタービンモーターとなります。

ターボドリル開発設計概要画像

次の写真も最終組立前の状態を示しています。

ターボドリル開発設計概要画像

最終組立前までにタービンモーターの構成ユニット4つのうちの3つまでは既に組み立ててあり、最後のタービンモーター出力ユニットにあたる部分を今回は組み立てて完成です。

ターボドリル開発設計概要画像

各部品は非常に精度良く加工されており、組立がスムーズに進むための各部調整も充分であり、製作時の配慮と手間をかけて頂いたことが大変に有難く感じた次第です。

深海底ドリリング計画用タービンモーターの完成

最終組立を行った「深海底ドリリング計画用タービンモーター」の最終組上がり状態が次の写真となります。

ターボドリル開発設計概要画像

外観は滑らかなパイプのようであっさりしていますが、内部にはギッシリと多段軸流タービンの部品が詰まっています。

ターボドリル開発設計概要画像

このタービンモーターの材質は全てステンレス製のため、全てのところがピカピカの状態であり、海水や地底熱に対する耐久性も充分です。

タービンモーターのブレード5軸加工が素晴らしい!

ターボドリル開発設計概要画像

「深海底ドリリング計画用タービンモーター」の動翼・静翼のブレード加工をして頂いた坂本技研さんでの5軸加工が素晴らしいので、ご紹介します。
まず、タービンモーター動翼・静翼の完成状態が上の写真となり、大変に素晴らしく表面状態が綺麗で精度の高い完成となっています。

それではこれら完成度の高い羽根を加工する途中の様子を見て頂きたいと思います。
まず下写真は、粗削りを行っているところとなります。

ターボドリル開発設計概要画像

加工しにくい焼き入れステンレス材にもかかわらず、非常に高速に粗削りされています。
そして次の写真が、中仕上げをバンバン行っているところです。

ターボドリル開発設計概要画像

切削用液をたくさんかけながらの加工なので、加工の様子は良く見えませんが、これも大変に、高速な削り出し加工となっていました。
このように高速で精度良くターボ機械の羽根が素材から削り出せるのであれば、今後のターボ機械設計は鋳物などを使う必要性が大幅に減り、ターボ機械の高効率化と設計の自由度の増加による技術進歩には大きな可能性が見えています。

今日は水戸付近の実験場でのタービンモーター試験への移動日です

茨城県の水戸付近に国家プロジェクトであるマントル掘削用タービンモーターの性能実験をする場所があり、そこで試運転を行う為に今日は移動日となります。

ターボドリル開発設計概要画像

組立前のタービンモーターONEユニット分の部品となり、このタービンモーターの慣らし運転と性能測定が今回の目的です。
水戸近くの実験場は少し山の中で、屋外に全ての実験装置を設置して実験を行うので、大変に寒いだろうと予想しており、そこらへんが割りと苦になるところです。
良い性能が出ることを祈り、無事に実験を終えて帰ってきたいと思います。

タービンモーター実験 実験装置の最終組立

深海底ドリリング計画用タービンモーターの性能実験の初日となりました。
下の写真が実験装置の全体です。

ターボドリル開発設計概要画像

実験装置には巨大なポンプが必要であり、大量の水も使用するため装置は写真のように全て屋外に設置されています。

ターボドリル開発設計概要画像

そしてタービンモーター本体は上写真のように、掘削用パイプの中に設置された状態で、その性能としてパワーとトルクの出方を中心に測定をするための組立を行いました。

ターボドリル開発設計概要画像

これが測定部を組立ている状況です。測定はトルク・回転数・圧力・流量・荷重などをたくさんのセンサーと特殊な測定装置を用意して行います。
本日中に組立の全体が終了したので、明日は実験の結果を報告出来そうです。

タービンモーター性能実験 運転成功 性能優秀!

深海底ドリリング計画(マントル掘削計画)用タービンモーターの運転を開始して、性能測定の結果、パワー・トルクともに充分性能優秀でした。
実験はまず、下の写真の巨大なポンプで非常に高圧の液体をタービンモーターに供給開始です。

タービンモーター性能実験

次に下の高圧液体の入口で流量・圧力を測定します。

タービンモーター性能実験2

そしてタービンの性能は、下のように動力計(トルク・回転数を測定可能)により確認出来ました。

タービンモーター性能実験3

これらの実験の結果、タービンの性能は非常に高性能であることが確認されました。
要求仕様よりも少ない流量・圧力で、要求トルクの1.5倍!ものパワーを出すことが出来、実験は非常に満足感を得て終了することが出来ました。
実験は屋外なので、大変に寒くてへとへとになりましたが、良い結果を出して帰ってくることが出来、最高でした。