ターボドリル設計

今年のビッグプロジェクト ターボドリル開発

現在当社で進行中のビッグプロジェクトである「ターボドリル開発」について

ターボドリルの開発進行中

昨年度から基本設計を行い開発を始めた「マントル到達の為の深海底ドリリング計画」に使われる「ターボドリル」の開発が現在も毎日進行しています。

今まであまり「ターボドリル」について詳しくご紹介することもなかったのですが、その機能や使われ方、歴史、そして設計の困難さなどをわかって頂きたく御説明致します。

ターボドリル開発設計概要画像

基本的な「ターボドリル」の構造を表わしています。
「ターボドリル」は孔を深く掘ることがその目的となりますので、左図での下部には掘削用のドリルビットがあります。

ドリルビットは回転してその刃で地面を削っていく錐のようなものです。
普通このドリルビットは、その上にあるパイプごと廻すことで切削していくのですが、「ターボドリル」においては、上部のパイプは廻さずドリルビットのすぐ上についているタービンの回転力でドリルビットを直接回転して掘削を進めるものとなります。
次は、そのタービンが回る原理などについてご紹介します。

ターボドリル開発設計概要画像

「ターボドリル」の最も重要な部分は、ドリルビットの回転力を生み出す「タービン」となります。
使用されるタービンは、高圧の液体の力で回る液体タービンとなっており、その中でも非常に特殊な型式となる多段軸流型タービンです。
この多段軸流型液体タービンの概略図を載せていますが、多段軸流液体タービンは、一般の水力タービンともかなり異なり、水力タービンの設計手法ではなく、これ専用の設計手法を理解しなければ設計が難しいタービンと言えます。
このタービンは割と回転数が速い状態で回っていますので、ドリルビットが必要とするゆっくりした回転数に合わせる為には、減速機を必要とします。

ターボドリルの歴史

ターボドリル開発設計概要画像

現在、日本国内では初めての開発となる「ターボドリル」を当社では設計進行中ですが、もともと「ターボドリル」はロシアで1925年頃に発明され実験的に用いられたのが、その歴史の始まりとなります。
ですから、ロシアでのターボドリルの歴史はすでに80年以上となり、ロシアでの石油開発はターボドリルが多用されている事実に納得がいきます。

ロシアでの最初のターボドリルは、タービンがわずか1段であり回転数が非常に速かった為、減速機を3段に用いて回転数を減速しています。 しかし基本的な構成はすでに確立しており、その発明者の技術力の高さを垣間見る思いです。
この最初のタイプから今までの間に、非常に多くのアイデアや試作品が作られています。

マントル掘削計画とは

ターボドリル開発設計概要画像

このビルは、独立行政法人「海洋研究開発機構」の本館です。
当社は現在、海洋研究開発機構殿より「深海底ドリリング計画」によりマントルまで到達する為の「ターボドリルの開発」を請けて行っています。
この技術開発は、「国家基幹技術」の範疇となるもので、重要なプロジェクトとしての位置づけにあります。

ターボドリル開発設計概要画像

マントルまで到達する為には、地上から掘ると30Km以上の掘削が必要ですが、海面から掘れば最短11Kmでマントルまで到達出来るため、その為に造られたのが 左図の「地球深部探査船 ちきゅう」となります。
この写真は、海洋研究開発機構の研究所に展示されている模型ですが、既に実際の船に乗船させて頂き、内部を非常に詳しくご案内頂いています。

ターボドリル開発設計概要画像

そのマントルまで到達する計画はどのようなものか、簡単に示しています。
では、マントルまで到達することにどのような意味があるのか、

○大地震の原因となるプレート付近を 探査でき、防災予測につながる。
○海底地層を全て採取することで、これまでの 地球の環境などの歴史が判明する。
○マントル内に微生物が存在する可能性があり、それを発見できれば生命の起源を推測出来る。
○日本にとっては重要となる、海底資源についての 各種探査と採取を行うことが出来る。

以上が、マントル掘削計画の重要な目的です。

「地球深部探査船 ちきゅう号」による 「深海底地球ドリリング計画=マントル掘削計画」について概要を説明しました。
そして、マントルまで到達する為の非常に重要な機械となる「ターボドリル」の開発を、当社が「海洋研究開発機構=JAMSTEC殿」から請けて行っていることもご紹介しました。
次に、「ターボドリル」とはどのような掘削機械であるのかを説明致します。

ターボドリルとは

ターボドリルの仕様

通常のドリルによる海底掘削は、掘る為のパイプ全体を回転させて先端についているドリルビットが岩を砕いて穴を掘っていきます。
しかしマントルまで掘る場合は、その距離が海底まで4000m、更にマントルまで海底から7000mも掘らなければならず、掘削用パイプの長さが長くなり過ぎ、普通のパイプ全体を回す方法では先端のドリルビットの振れが大きくなり、真っ直ぐ掘る事が難しくなると共に、長いパイプと孔壁の摩擦などで孔自体が塞がれる可能性も大きくなります。

そこで、パイプの先端にあるドリルビットだけが回るようにすれば、真っ直ぐな孔を深くまで掘る事が出来ます。
その為にドリルビットの真上に高圧の圧力水で回転するタービンを取り付け、その駆動力でドリルビットが回転して
掘っていくための機械部分を「ターボドリル」と呼んでいます。
現在世界で最も深い孔である地上から13kmある掘削孔もこのターボドリルで掘られています。
ただ、地上からでは30Km以上掘らないとマントルに到達出来ないので、今回のちきゅう号のように海の上から掘る方法が
最も短い距離でマントルに到達可能となるのです。

ターボドリル開発設計概要画像

しかし、元々このターボドリル技術は油田を掘る為の技術で、日本にはその技術がありませんでした。
そこで今回、この図のように当社にてターボドリルを開発することとなったのです。
しかも、マントルは温度300度~1000度、圧力2000気圧という非常に厳しい環境の為、マントル掘削用ターボドリル開発は、これまでにない世界最先端の ターボドリルを開発することに等しい困難を伴う開発ですが、当社(有)ターボブレードでは使命と思い、やりぬく覚悟で日々研究を進めております。

ターボドリル要素実験装置

弊社が海洋研究開発機構(JAMSTEC)殿よりのご依頼で行っています 「マントル掘削用ターボドリル開発」の計画全体について説明をさせて頂きました。
今回は、ちょうど現在組立てに入っています「ターボドリル要素実験装置」について紹介をさせてください。

ターボドリル要素実験装置ターボドリル要素実験装置

こちらが「ターボドリル要素実験装置」の全体を示しています。
この実験装置の目的は、

○タービン運転時の色々な特性を測定する。
○流量・圧力・回転数・出力・効率などを各種運転パラメーターを詳細に変更しながら値を記録し、特性の解析を行なう。
○ターボドリル自体が非常に特殊な駆動形態をもつため、その機構部分が有効に働くかなどの特性を掴む。
○圧力水の成分が変わった場合に、タービン特性にどれだけの影響があるのかを詳細に評価する。

などとなり、掘削を行わずにクローズドで連続運転が出来る言わばタービンの ベンチテスト装置になっています。

ターボドリル開発設計概要画像 ターボドリル開発設計概要画像

そしていよいよ実験装置の部品が準備ができ、一つ一つの部品を点検して、仮組みを進めているところです。
部品の素材は全てステンレスで出来ており、錆などの心配もなく見栄えも良いのですが、実験機は実機の縮小モデルとなっている為、加工が非常に難しかった部品などもありました。
タービンの最も重要な部品である動翼と静翼が右の写真ですが、大変良く加工されていて、設計イメージどおりの出来上がりとなりました。

ターボドリル要素試験装置本体部の仮組をおこないました

ターボドリル開発設計概要画像 ターボドリル開発設計概要画像

写真にある色々な部品がターボドリル試験装置の本体部に使われるものです。
本体部は実機の縮小モデルとなっている為、かなり小型のものなのですが、使われている部品は写真のように多くなり、それを小さいケーシングの中に詰め込んで組立てていくので、割と大変ではあります。
そして仮組みを終了したモデル本体部の組みあがり状態が写真となります。

ターボドリル要素実験装置 製作状況

ターボドリル開発設計概要画像

タービン本体を取り付けて各種計測をする為のテストベンチ部を組立てている途中の写真です。
使用液を溜めておくためのタンクや、動力を測定する為の動力計部分などが見えています。
これらも材質は全てステンレス製なので、錆の心配もなくスムーズな実験を行えます。

ターボドリル開発設計概要画像

まず、圧力液体を送り出す為の特殊液体圧送用ポンプが手前に見えています。
まだ配管で完成していない部分があり、そこには圧力発信器や流量計などが取り付けられて準備完了となります。

ターボドリル要素実験装置の完成検査

ターボドリル開発設計概要画像

この組立状態での完成検査後は、実際に実験運転に入るため、実験を行うための注意点や重要な測定項目などを詳細にお打ち合わせ頂き、今後の日程もほぼ決めることが出来ています。
実際の運転実験が始まると予想もしていなかったトラブルなども発生する可能性もあるので、充分な準備をなるべくしておくように色々と手配をしていきたいと思います。

ターボドリル要素試験装置の水通し試験を行いました

要素試験装置に運転制御盤と各種センサー類を取り付けましたので、装置各部での水漏れがないかどうかや、センサーや機構部は正常に動いているか、配管の操作性はどうかなど、実際にポンプで水をながして確認を行いました。
その結果一部のシールが馴染み不足と思われる微量な漏れがありましたが、ほとんど問題なく運転可能でした。

ターボドリル開発設計概要画像 ターボドリル開発設計概要画像

これは、運転操作盤の中です。液体圧送用ポンプは、回転数を可変にするためにインバーター駆動となっていますので、盤内右下にあるデッカイのが、15KW容量のインバーター本体です。
そして盤面にある流量・圧力・荷重・回転数などのセンサー表示器が流れ状態を示しています。
圧力と流量は、インバーターによるポンプ回転数の可変とポンプ吐出側調整バルブにより、かなり自由に運転状態を作り出すことが出来ます。